beansgunのOverwatchメモ

ブロンズプレイヤーがAIM研究やオーバーウォッチリーグを楽しむブログ

FPS配信者はなぜ視聴者と雑談しながらプレイすると調子よくなるのか?

この記事は「意識」や「集中」から自分を解放して、もっと「感覚的」に「ノリノリ」にプレイできる工夫をしたほうが自分の本来の実力やベストが出せるという理屈を説明する。 (勝てるとは言わない。でもベストに近くなる。)


FPS配信経験者で視聴者と楽しく雑談しながらプレイしてたら成績調子良くなる経験ないだろうか?
全くゲームに集中してないように見えて、高レート配信者や低レート配信者でもAIMが一段鋭くなり、全ての判断がシンプルに早くなるこの現象を結構見てきた。
僕自身も経験があり、これは多分偶然ではない。


「敵を発見する」0ms
    ↓
「"集中"して敵に照準を合わせて狙う」50ms (ミリセカンド 0.05秒)
    ↓
「敵を撃つ」30ms

グラマスレベルだと通常これぐらいの反応速度で頭撃ち抜くだろう。
だがほんとに調子よく弾があたってクリップに保存するプレイは

「敵を見つけたと思ったらもう当たってた」30ms

と、「"集中"して敵を狙って撃つ」という動作が無意識に省略された理想の動きになる。配信者は楽しく雑談してるときの方がゲームの流れをつかみやすい。なぜか?

■ 人間は"集中"したり、"意識"したりすると行動が50ms、0.05秒遅れる

この「意識」や「集中」はAIMだけの話ではなく、スキルの発動、ULTの判断、その他ミクロの駆け引きや思考と動き全てに加算される足かせである。全てを足したら1秒超えるかもしれない。

「意識」や「集中」は遅れるだけじゃなく無駄な力みやここぞというブレにもつながる。武道の構えの極地は無我であり脱力だ。


タクティカルFPSはそれこそ0.01秒を争う高速バトル。たった1秒で展開が変わるミクロの駆け引きを10人で高速にやり取りしないといけない。

マクロな戦術構成、スキル合わせ、フォーカス合わせなどはたくさんの練習や座学が必要だが、人間という敵はよほど実力差がない限りこっちが思った通りには動かない。決まった動きや練習はミクロ面ではあてにならない。

毎回臨機応変なミクロの駆け引きを重ねて勝つことが流れを引き寄せる。
ミクロの駆け引きでベストを出すためには逆説的に

「全体の感覚」に集中するため「小さな事」へ集中しないこと
「流れ」を捉えるため「小さな事」を考えないこと

が大事である。

■ なぜ"集中"してはいけないのか?   なぜ"考え"てはいけないのか?

ゲームをやり込んでる人ほど、AIMもキャラコンも定石もルートパターンも無意識で身についているからである。

レーニングの本質は

「意識してもできないことを、意識したら正確に出来るようになること」
「意識したら正確に出来ることを、無意識で(脳のリソース0)で出来るようになること」

となる。
( AIMやキャラコン身についてない人は回れ右 )


あるレベルまでは無意識でできるはずの事を、わざわざ"集中"して意識に上げる必要はない。脳のリソースがすでにできてることに40%ほど取られてしまうと、全ての行動や判断が意識を通すため0.05秒以上遅れてしまい、かつ残りの60%のリソースで敵に対処しなくてはならない。

これがランクマだけ強くて試合本番に弱い選手やチームの原因でもある。
Overwatchリーグですらそれが多い理由。
5v5のFPSに置いて「自分のやりたいこと」と「敵の位置」を集中したり考える必要はない。そこは全部無意識で自動化して、自分以外の敵味方9人の「なんとなくの空気と流れ」に脳のリソースを使う必要がある。


「練習した事」や「自分」や「敵のタイミング」に集中したり考えたりするのは、試合中にトレーニングレベルに戻ることになる。本番は全部臨機応変に「空気と流れ」にリソースを使い、臨機応変なミクロの判断をたくさん重ねて、最終的にWaveに勝ちたい。

「感覚」へ集中するためには「自分」や「敵」や「練習の決め事」など小さなことへ集中しないこと。そもそも敵が決まった通りに動くなら無意識で連携取れるはず。

「流れ」や「ゲーム支配」を無意識に映像化するためには、「自分」や「敵」や「練習の決め事」などを考えないこと。

■ 視聴者と楽しく雑談している間は、余計なことを考えずに「無意識」でプレイできる

意識の言語野が余計なおしゃべりで封じられてる以上、
AIMもキャラコンも定石も、敵味方の動きや流れもすべて「無意識」に任せるしかなくなる。意識で遅れる練習のためのランクマではなく、ほんとに細かい無駄や判断迷いがない、今できる範囲で本人のシンプルでベストな動きになる。

これがタイトルの理由。

もちろん身についてるAIMやキャラコン以上のことはできない。この記事は「勝つため」の話ではなく、「自分のベストを引き出すため」の意識の使い方の話である。


とはいえ楽しく雑談しろといってもランクマ配信者ならまだしも、トーナメント試合で負けてるときにガンダム彗星の魔女の百合話をしだす奴がいたらチームから追い出されるだろう。

これをヒントにいろんな対策を考えてみよう

■ ノリの良い音楽をBGMで流す


早いリズムで強制的にテンポを上げると言語野で余計なこと考える暇はなく、どんどん臨機応変に処理しなければならなくなるのでとても有効な方法。

なんなら歌いながらゲームするのもあり。
お気に入りの音楽ならいつもより調子良くプレイできるだろう。

しかしFPSで最重要な「音」情報が犠牲になるため、本質的に音楽とは合わない。
ボイスチャットにも邪魔で試合でロックBGM流すわけにもいかない。

■ Dafran や ML7、Profit、Sp9rk1eの「お調子者キャラ」を見習う


FPSでは慎重で真面目なプレイヤーより、お調子者のクソガキが強い。クソガキは常に相手を舐めて流れを支配しようという性格がある。

慎重で真面目なプレイヤーが、どうしても相手に飲まれて、計算上不利なリスクは取れず受け身になってしまうところ、彼らは味方の調子も我関せずと自分の仕事をやり通す。
(Dafranは負けるとトキシックになるので、見習うならML7か?)

例え相手が世界最高のスナイパーANSでも、名前で飲まれてしまっては試合にならない。意外な行動で1発空振りさせよう、カスダメ1発当てて注意向けようとたくらむのは、相手に飲まれないお調子者のしたたかさだ。

お調子者のクソガキはこの無意識への切り替え、ステップアップが性格的にスムーズに進むので腕前がぐんぐん伸びる。真面目なプレイヤーは頭で考えすぎて「感覚」に移行が難しく成長が足踏みしがちだ。

■ 人数有利のときに「流れ」が掴めるのは考える事が減るから


体力多く、サポ回復量が尋常じゃなく、キルタイム長いOverwatchだと1人死んだ5v4の状況は気を配る事が大きく減って一気に場を支配できるようになる。これも脳のリソースを稼げたといえるだろう。

これを逆に考えると、敵をキルせず、ダメージも出さず、エリアを取らないでも、フランカーが敵2人の意識を奪うだけで結構な脳のリソースを奪う事ができる。これもミクロの駆け引きのひとつになるが、それが全体としてプラスかマイナスかはやはり感覚で流れを読まなければならない。


■「敵に飲まれない」「流れをつかむ」という無意識バトルの重要さ


例え開始3分でもこいつらには勝てないと思った時点で試合終了である。
これはプロチームでも実力差つく試合でたくさん発生する。

それでもジャイアントキリング起こす「流れをつかむ」というのは先にも書いた通り、個々人でのミクロの駆け引きの積み重ねである。

そこで、

■「勝敗」というマクロではなく「ミクロの駆け引きで勝つ」事を考えよう

映画を大ヒットさせようというとき、プロデューサー、監督、原作、脚本、役者、スタッフ、宣伝担当と資金などいろんな人を巻き込む力が必要で、1人でどうにかできるわけではない。

さらにそれぞれが「こんな映画ヒットしねえわ」と途中で諦めたら勝てるものも勝てない。

個人が出来ることは映画製作でもFPSでもそれぞれベストを尽くすこと。
個人が大ヒットや勝敗の結果にこだわることは不可能。
個人は自分のミクロでのベストを出せるかどうかだけこだわれる。

、、、という事実を認識すれば、ランクマや試合も諦めずにミクロのベストを目指せないだろうか?


実際その蟻の一穴から熱量が生まれ、流れが出来ることはあるのだ。

■ この記事で提案してる「ノリノリの無意識の維持」という考えと対局に位置するのが「過集中のゾーン」

これがなまじ成果を出してる分

「もっと集中しろ!」
「もっと意識しろ!」

という弊害になっている。
意識しないとできないレベルでの「練習」なら間違ってはないが、今回はすでに意識ではできてる先、あるいは「試合」での話。

■ "過集中" のゾーンとは?


スポーツ業界で「ゾーン」と呼ばれるアドレナリンを最大限放出して、過集中に入ることがたまにある。その集中力はいろんなものが把握できて、スローにも見えるそうだ。

ただ、それだけアドレナリン放出して全集中するには脳の負担も大きいし、そもそも怒りのアドレナリンをコントロールすることが難しい。徹夜のハイな興奮状態もこれに近いものがある。


もし大事な世界トーナメントで、結果でなれば引退もちらつく状態で、案の定ルーザーズに落ちて、もう後がないと、リーダーが自分を不甲斐ないと思ったら自分自身に怒って過集中に入る事があるかもしれない。

そういう人の熱量やミクロの勝利は、負けこんで声もでなくなった「完全に飲まれたチーム」を生き返らせる力がある。

しかしアドレナリン放出は休むと途切れてしまう。
人間は同じ理由で同じ量の怒りアドレナリンは出ないのだ。
クリリンが死んでキレるのは1回のみ。


もし、ルーザーズぎりぎりの戦いが1日の休みもない連戦連勝で、スタッフが毎日徹夜で明日の対策をたて、最低限の睡眠で少ない時間で対策練習もしてという「連日徹夜状態」ならずっとアドレナリンは続くかもしれない。休みなしというのは漫画家やアニメやゲームなどの締め切り前の状態だから。

もしそんな偶然も重なった奇跡的な集中状態であれば世界チャンプも狙えるだろう。

アドレナリンゾーンにリスクがあるとすれば
コロナとかで準決勝開催が1週間伸びると、あるいは中1日の休みが入るだけで集中力が途切れるところだ。

徹夜に近い連日のアドレナリン放出は反動で体調を崩すかもしれない。そうなると、1週間練習もできないまま、同じゾーンも使えないまま試合に望まないといけないので普段の実力も出し切れなくなる。アドレナリン系ゾーンは、意識して使うのも難しければ、都合よく使い続けるにも難しいものなのだ。


アドレナリンに頼るより
「ノリノリの無意識や感覚に頼り、ミクロで勝つ事をただ積み重ねる」を推したい。

■ チームが流れに飲まれても、自分だけは心にお調子者ML7と熱い心の2つを持とう

敵にやること全部潰されてチームが声出なくなるのは仕方ない。
ジャイアントキリングはそうそう起こらない。
勝敗は自分一人でコントロールできないので意識する必要はない。

負けててもお調子者として、自分がやれること、仕掛けること、ミクロでベストを尽くすのをただ諦めない。
実力差あってもお調子者がミクロのナイストライをやり続ければ、10回に1回はジャイアントキリングが起こるかもしれないし、その1回がトーナメント戦かもしれない。

ミクロの穴が開けば熱い心はチームに伝播する。


■ 連携や仕掛けを意識するチームから、無意識で(偶然)連携取れるチームへ


練習のスクリムはともかく、本番の試合で「狙いを意識する」のはパフォーマンス低下につながるおそれがある。相手は練習通り都合よく動かない人間であり、ちゃんと対策もしてくるからだ。試合の途中ですら対策される。


記事のまとめとしては、

「練習やスクリムや座学は無意識に落とし込むために正確に繰り返して」
「本番は流れによってむしろ決め事をある程度無視し」
「個人の感覚と流れに判断を任せ、相手より0.05秒早いミクロ処理をノリノリのスピードでさばき続けることが連携につながるだろう」

負けてても高速に仕掛ける、楽しい雑談のような、お気に入りのポップスのような、ノリノリのスピード感覚を維持することが無意識のベストにつながる。それを工夫維持できるお調子者の個人やチームこそ伸びていく。

チームはノリノリを維持できてるだろうか?
負けて劣勢のとき、5人とも心にしたたかなお調子者を飼ってるだろうか?
固い決め事や、事前の狙いや、膨大なVCが臨機応変な柔軟性を欠いてないだろうか?

この記事で各自がどうノリを作り、どうスピードを維持するかのヒントになれば幸い。


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「我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。」
 
荒巻大輔 公安 9課部長